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STEAM教育とは?子どもたちの学び方に変化が!
⚫︎STEAM教育とは?
近年STEAM教育の重要性が増しています。
STEAM教育とは、科学・技術・工学・芸術(リベラルアーツ)・数学の頭文字からできた教育用語です。
S SCIENCE 科学
T TECHNOLOGY 技術
E ENGINEERING 工学
A ARTS 芸術・リベラルアーツ
M MATHEMATICS 数学
この言葉だけを見ると、「理系の教育のことだ!」と思う人がいると思いますが、実は理系の教育だけに重点おいた概念ではありません。今回はSTEAM教育がなぜ注目されているのか?そして、家庭でできるSTEAM教育について紹介していきます。
なぜSTEAM教育が注目されているのか?
中央教育審議会(国の教育方針を決める機関)では、
・STEAM教育は「各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育」
・「AIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化し,多様な課題が生じている今日においては,これまでの文系・理系といった枠にとらわれず,各教科等の学びを基盤としつつ,様々な情報を活用しながらそれを統合し,課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質・能力の育成が求められている。
中央教育審議会答申(令和3年1月26日)(抜粋)
難しい言葉が並んでいますが、要するに子どもたちが情報社会を生き抜いていくためには、
・文系・理系の区別なく、各科目の情報や知識を活用する力
・自分で課題を発見して、解決する力
を育てることが重要ということです。
かつては、教科書の言葉を暗記(答えを覚えて)して、テストで高い点数を取れる子が優秀とされていました。知識を詰め込む教育が主流でした。しかし、多様な価値観が生まれた現在では、「答えを正確に覚える力」より「答えを見つけたり、価値を見出したりする力」の重要性が増してきています。つまり、知識をただ覚えるのではなく、自分自身で課題を見つけ、知識を活用して課題解決する力が今の子どもたちに求められているのです。そして、よく耳にする「プログラミング教育」はSTEAM教育の一つであり、論理的思考力(プログラミング的思考)の育成を目指して教育課程に設定されました。
STEAM教育は学校教育でどのように実践されている?
実際の学校教育ではどのような取組があるでしょうか?学校教育でのSTEAM教育のポイントは「教科横断的な学び」です。
体育「短距離走」の学習で、速く走ることを課題に設定した場面では、子どもたちがタブレット端末を使って自分の走る姿を動画撮影します。そして、「足の上がりが小さい。」「腕を大きく振れていない。」などの課題を発見します。課題を発見したら、教員は「足を上げるよさは何だろう?」「なぜ腕を大きく振るのか?」などと子どもたちに問いかけます。すると子どもたちは、「足を上げると歩幅ができるのでは?」「ふりこは大きく振れることでパワーがあったから、腕を大きく振ればよいのでは?」と、力学的(理科的)な視点で走り方を考えます。これが、体育の学習に科学(理科)の学習が生かされ、課題解決に向った教科横断的な学びです。
また、高等教育ではデータ分析、プログラミング、ロボティクスなどを学び、教科や学年を横断した探求的な学びができます。農業のデータ分析やプログラミングを使って課題解決をしたり、自分たちの体験からアプリを開発したりと、エンジニアやプログラマーがやるような学びが高等教育では実践されています。
ただ、間違えていけないのはエンジニアやプログラマーを育成することがSTEAM教育やプログラミング教育の目的ではなく、「自分自身で課題を見つけ、知識を活用して課題解決する力を育成すること」が一番の目的です。
家庭でもSTEAM教育に取り組もう!
家庭でもSTEAM教育を実践することは可能です。ポイントは「STEAM教育の機会を日常場面で保護者が見つけ、言葉がけすること」です。
例えば、料理の場面ではSTEAM教育のヒントが隠されています。料理をするには、材料を揃えたり、人数分の分量を用意したり、効率よい手順を考えたりします。ただ料理をするのではなく、「どこの産地の材料がいいだろう?」「3人分を用意するには〇〇は何個(何g)あればいいだろう?」などと問いかけると、料理という日常場面が様々な知識をフル活用して課題を解決する場面になります。
またSTEAM教育を実践する上で、以下の2点も心掛けましょう。
・すぐに答えを教えず、子どもに調べさせ、考えさせ、見つけさせる
・トライ&エラーを認める(見守る)
教え過ぎたり、失敗のたびに叱ったりしていては、子どもが自ら課題を解決しようとしません。子どもが自分の力で課題解決する姿を温かく見守り、家庭でもSTEAM教育を実践してみてください。