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空間認知能力とはどんな能力?低いと起こることや高めるメリット・高め方も紹介
空間認知能力は、日常生活はもちろん、勉強やスポーツなどあらゆる場面で活かすことのできる能力の1つです。「空間認知能力」という言葉は、耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。近年では、スマートフォンやタブレットで視聴する動画やゲームなど平面的な遊びが増えてきており、外遊びや積み木、あやとりなど立体的な遊びを行うことが少なくなってきました。そこで、今回のコラムでは、空間認知能力の言葉の意味や、空間認知能力が低いと起こること、高めるメリット、そして家庭で実践できる高め方を紹介します。ぜひ参考にして、実践できそうなことから取り入れてみてください。
空間認知能力とは
空間認知能力とは、三次元空間における物体の状態や関係(位置・方向・形状・姿勢・間隔・速度など)を、すばやく正確に把握する能力のことを指します。(※)空間認識力・空間把握能力など、さまざまな表現があります。実際に目の前にない物であっても、脳内でイメージして行動できるのも、この空間認知能力のおかげなのです。例えば、地図を見ながら「自分がどこにいるのか」「目的地まであとどれくらいか」など自分の現在地を把握して、目的地までの行き方を考える際に空間認知能力を活用します。
空間認知能力が低いと起こること
空間認知能力が低いと、次のようなことが起きやすくなります。
・絵や図が描けない
・物にぶつかったり、つまずたりして転びやすい
・スポーツが苦手
身体感覚が鈍くなり、距離や幅、高さを捉えることが難しいため、日常生活やスポーツにおいてもデメリットが生じます。そして、何よりも心配なのが「事故」です。大切な我が子が自転車や自動車にぶつかってしまったり、転んで頭を打ってしまったりしては大変ですよね。子どもの安全を守るためにも、空間認知能力を育み、危険を回避したいところです。
空間認知能力を高めるメリット
空間認知能力を高めるメリットは、次のとおりです。
・スポーツの上達が早くなる
・絵や図をうまく描ける
・物事の手順や構造を理解しやすい
・地図を正しく読める
空間認知能力が高いと、身体能力も高い傾向にあります。転んだり、つまずいたりすることが少なく、飛んできたボールをうまくキャッチしたり、目的の位置にボールを投げることができます。このように、空間認知能力を育むメリットは多くあり、日常生活だけでなく芸術やスポーツなどあらゆる分野で力を発揮することができるのです。
家庭で実践できる空間認知能力の高め方
一般的に、空間認知能力が大きく伸びる時期は、運動機能や感覚機能が著しく発達する3歳〜5歳頃だと言われています。家庭で実践できる空間認知能力を高める方法を3つ紹介します。
1.外遊び
外遊びの代表的な例としては
・鬼ごっこ
・キャッチボール
・アスレチック
・自転車
などが挙げられます。
人や物との距離感やボールの速度や落下位置の予測、自分の手足をどのように動かせばいいのかなど、外遊びを通して積極的に上下左右・奥行きの感覚を刺激することがポイントです。また、すべり台やジャングルジムなどの公園の遊具で、立体に触れる経験も空間認知能力アップにつながります。小さなお子さんの場合は体力がまだ十分でないこともあるので、まずは追いかけっこなどの簡単な遊びから始めてみてください。
2.室内遊び
室内遊びの代表的な例としては
・積み木やブロック
・パズル
・折紙
・お絵描き
などが挙げられます。
作りたい形をイメージしながら、異なる大きさのパーツを組み立てたり、平面の紙を折り込んで立体的な形にしたりすることで、空間認知能力が高まります。また、お絵描きは、描く対象の形や奥行き、位置関係などを考えながら表現する必要があります。注意点としては、積み木やパズルなどの知育玩具は、発達段階に合わせて作られているため、対象年齢を参考に選ぶことです。お子さんの発達に合ったものを使うようにしましょう。
3.空間認知を意識した声かけ
空間認知を意識した声かけも効果的です。
保護者の方に意識してほしい2つのポイントを紹介します。
《空間や形を表す言葉を使う》
私たちは、日常生活の中でつい「あれ」「これ」など、物事を指し示す役割をもつ「こそあど言葉」を使いがちです。
そのため「テレビの右側にある、緑色の丸いカバンを持ってきてくれる?」というように、意識して空間や形をイメージする言葉を使うようにすると、空間認識能力が高まります。
《想像力を働かせる質問をする》
物の形や位置を子どもに質問するのもおすすめです。
「ナスを半分に切ったら、どんな形になる?」「お菓子が全部入る袋はどっち?」など、子どもが想像して考える時間をつくりましょう。
子どもが持っている能力を引き出そう
空間認知能力は、幼少期の活動により高められます。
日頃から空間認知能力を意識した声かけを行ってみたり、外遊び、室内遊びを工夫したりすることでお子さんの能力はどんどん伸びていくでしょう。
とはいえ、お子さんの成長には個人差があり、一人一人の良さがありますので、空間認知能力だけにこだわらず、ぜひいろんな能力や強みを発見して伸ばしていってくださいね。
どのお子さんも、元気で健やかに成長することを願っています。