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運動をすると頭が良くなるのは本当?
運動と脳の関係性を研究による結果と併せて分析、解剖
現在、30代40代の方達の中で(親世代と呼ばれる方)、自分達が幼少期や少年期を振り返った時に、勉強ができる子は運動もできる子が多かった、そんな記憶はありませんか?実はこれ、運動も勉強も「脳=頭で行うもの」というのが研究結果として実証されています。そんな運動能力と学習能力の関係性について、どのような理由・理屈があって関係しているのかをご紹介していきます。ご紹介する内容は、『スポーツのできる子どもは勉強もできる』(幻冬舎新書)や『賢い脳をつくるスポーツ子育て術』(誠文堂新光社)など多くの著書を持つ東京大学の深代千之教授にインタビューした内容を抜粋してご紹介していきます。
勉強と運動の相乗効果について
勉強と運動には相関関係があるとして疫学的に双方が関係しているとデータとして出ています。運動をする際に、「走る・跳ぶ・投げる・打つ」といった動作を脳に覚えさせることで、いざ運動をする場面で記憶しておいた能力を引き出して生かされるとされています。この様な脳仕組みは勉強にも同じことが言え、「見る・聞く・書く・答える」といったことを脳に覚えさせることでその都度その記憶を引き出して勉強能力として発揮されているのです。なので、勉強ができて運動もできる子はこうした脳の働きの発育が優れているという結果になります。
また、実際に文部科学省による「小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果」というものを照らし合わせたところ、「運動ができる子供は勉強もできる」という傾向があるということが結果として分かっています。このような結果から、「運動と勉強に相関関係がある」と考えて間違いないと言えます。勉強・運動、両方が優れている子供の特徴
上記のように、勉強と運動、文武両道な子供には以下のような特徴があります。
朝食を欠かさず食べる
朝食をとることで脳が活性化するというのは周知のことかもしれませんが、実際に朝食をとっている子供ほどテストの点数が高く、運動能力も高いという調査結果があります。勉強も運動も、いずれも「エネルギー」を消費するので、朝食をとることでそれらのエネルギーを補うことは勉強・運動両方に必要なことだと言えます。
※文部科学省、農林水産省の調査による統計から。
繰り返し学ぶことができる子
漢字を覚える、計算方法を覚える、ということと、ボールの投げ方・蹴り方を覚えるということは同じ覚えるということであっても分野的には違う、と思われるかもしれませんが、実はこれはどちらも同じ脳の使い方になります。覚えたことを実際に行動に移す時は、「脳から神経に○○すれば○○ができる」という電気信号が発信される仕組みになっています。なので、繰り返して学ぶということができる子は勉強も運動も両方の能力を自然と伸ばす力を身につけているということになります。
歩くなど、日頃から良く体を動かしている
体を動かすことで「ストレスに対する抵抗力が高くなり、宿題や部活など、最後までなにかをやり遂げることが苦になりにくい」と言われています。特に子供の頃ですと登下校を歩いてしている子供は学力や運動力に対して良い影響があるとされています。勉強能力や運動能力を向上させる方法。文武両道優れている子供の特徴でも触れました、朝食を欠かさずとるや体を動かす、ということとは別に、勉強・運動能力を向上させる方法としての詳細をご紹介していきましょう。
遊び心を大切にする
勉強や運動を「しなければならない」「やらなくちゃいけない」といった義務感でやってしまうとその能力は低下してしまう恐れがあります。子供の頃は特に、「遊びから得た経験」が基盤となると言われています。運動1つにしても、まずは友達同士でサッカーや野球をするのも最初は近くの公園や学校の休み時間などを利用して「遊ぶ」という気持ちから始めるのは殆どだと思います。「遊ぶ」という意識・感覚は、そこで得た行動などは脳に記憶しやすく、義務感で覚えたことに比べるとその能力をより発揮できるようになるはずです。勉強も同じで、遊ぶという感覚では難しいながらも、少なからず勉強をすることが子供にとって楽しいと思える環境で行えることが理想です。
集中力を維持させる工夫宿題や試験勉強、部活で大会があるから練習をしなければ、といった、長時間同じことをしなければならないという状況では集中力が非常に重要です。集中力がない時に勉強したり運動したりしてもそれらは中々身につかないでしょう。
そんな時は、どうしたら集中力を維持できるのか、または集中力を回復できるかを考えてみて下さい。例えば、運動と勉強は脳の働きによる相関関係があるとご紹介してきた通り、勉強で疲れたなと思ったら「一度勉強は中断して、数分~数十分程度体を動かしてみる」のが良いでしょう。体を動かすことで集中力が飛躍的にアップするとされているので、勉強に限らず、長時間同じことをしなければならない時などは、合間にちょっとした運動を挟むことで脳を活性化させ頭をスッキリ、リフレッシュさせて集中力を取り戻すことができるようになります。もちろん体を動かすことで運動能力を向上させることにも繋がりますし。
まとめ
運動と勉強の関係性をテーマにご紹介してきましたが、幼少~少年期にかけては、勉強や運動から学ぶ・記憶するということでの脳の働きはどちらも一緒であるということがあらゆる方々での研究結果としてでております。経験として学んだことを記憶させるという力は、学力・運動力、両方に対してそれらの力を向上させるために重要だと言えますし、脳を活性化させるためには体を動かすことが大事ということが立証されています。そして、文武両道を目指すのであれば、日々の生活の中で運動することも勉強することも「習慣付けると共に、苦にならないようにする」という工夫・意識が大切です。優れた脳の発達をさせるには、親御さんの協力も重要になります。是非お子様に対して、惜しみないサポートをしてあげて下さい。