読解力が低下してきていると言われる日本の子どもたち。前回のコラムでは、読解力とは何か、なぜ日本の子どもたちの読解力が低下しているのかについて解説いたしました。
では、どのようにしたら読解力を上げることができるのでしょうか?今回も前編・後編に分けて詳しく解説していきます。
読解力を上げることで、コミュニケーション能力も高まり人間関係が良好になります。また、大人になっても情報収集をしたり、相手の伝えたいことやニーズを理解することができるので、仕事をスムーズに進めることができるようになります。保護者の方や教育関係者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
読解力を上げるには?
読解力を高めるためには何ができるのでしょうか。大人も取り入れることのできる4つの方法を紹介していきます。
文章をたくさん読む
前回のコラムでも紹介しましたが、 PISA調査の報告では「フィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力の得点が高い」(※1)と報告されています。読書や新聞など、日頃から長文を目にして、様々な表現を知ることや内容を理解することが読解力を上げるポイントと言えそうです。特に新聞の社説は、文章の型が決まっているので読みやすいと言われています。毎日掲載されているので、日頃から読む習慣をつけることもできます。新聞を読む機会が少ない場合は、小説や物語など読書を通して長文を読む機会を増やしましょう。読書をすることで、読解力だけでなく思考力や集中力、問題発見・解決力など様々な力を高めることができます。読書に苦手意識のある人は、興味のある内容の薄い本やイラストが多い本から読んでみると取り組みやすいかと思います。
※1 OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイントhttps://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
要約する
読解力とは「文章を読んで、その内容を理解する力」のことです。つまり長い文章の中から筆者が伝えたいことは何か、要点を掴むことが大切です。そのため、読書をした時に内容をメモにまとめる、人との会話の中で相手が言いたいことは何かを考えるといった要約する習慣が読解力を高めるのには有効です。学校の国語の問題でもよく「筆者の言いたいことは何か」を問う問題が出されることが多いと思います。これも読解力を強化するためです。要約は、文章の中でいらない部分を削り、重要な部分だけを残す、あるいは言い換えるといったプロセスが必要です。慣れないうちは、要約することが難しいかもしれませんが、続けていくことで要約する力が身につき、読解力が向上していくのです。読んだ本のあらすじをメモする、印象的だった内容を簡単にまとめておくなども一つの要約です。要約トレーニングのドリルなども販売されていますが、手軽にできる読書メモがオススメです。
辞書を使う
読解力を高めるためには、前述した通り言い換える力が必要です。そのためには語彙を豊富に知っている必要があります。語彙を増やすためには、言葉の意味や使い方を知ることのできる辞書がオススメです。文章をたくさん読んでいると、わからない単語や表現が出てくることがあります。今ではインターネットですぐに調べることはできますが、紙の国語辞典を使って調べることが読解力向上につながります。紙の辞書を使って調べることには、以下のメリットがあります。
・知らない言葉の意味を知ることができる。
・用法、用例を一度に見渡すことができる。
・知りたい用語の周りにある言葉の意味も自然と目に入る。
これらのことから、辞書を使うことで必然と語彙が増え、表現を知るきっかけにもなるのです。
幅広い世代と交流する
様々な世代の人と交流をもつと読解力が鍛えられます。普段よく話す人とは、考え方や意見が似てくることが多いかと思います。読解力を高めるためには、自分にとって馴染みのない新しい情報に触れ、読み解くことが必要です。子どもであれば、学校内で他学年の生徒と交流したり、地域活動に参加したりするなどが挙げられます。大人であれば、職場の上司や部下とのコミュニケーションを積極的にとったり、職場外での様々なコミュニティに参加することで幅広い世代と関わることができます。会話の中で新しいテーマや初めて耳にする言葉があると、語彙や知識が増えます。そして、その内容を理解しようとすることで読解力が鍛えられます。子どもだけでなく大人も積極的に幅広い世代と交流することは、読解力そして知見を広げる良い機会です。新型コロナウイルス感染症の流行も収まりつつある今、積極的にいろんな世代の人と会話してみてはいかがでしょうか。
前編のまとめ
前編では、読解力を高める方法について紹介してきました。まとめると以下の通りです。
・読書などでたくさんの文章を読む。
・本や資料などを要約する。
・辞書を使って語彙を増やす。
・幅広い世代と交流をし、語彙や知識を増やす。
今回の記事では、比較的取り組みやすいものを紹介いたしました。全てやろうとするのではなく、ご自身あるいは子どもたちにとって取り組みやすそうなものから始めてはいかがでしょうか?
後編では家庭でできる読解力強化方法について解説していきます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。