【親子で読書:「ぼくら」シリーズ】4月に亡くなられた『ぼくらの七日間戦争』の著者「宗田理さん」
先日亡くなられた作家の宗田理さんについて書こうと思います。
宗田理さんといえば、『ぼくらの七日間戦争』を始めとする「ぼくら」シリーズ。累計2,000万部を突破し、幅広い世代の青春を彩ってきた作品である為、子どもの頃に読まれたことがあるお父さん・お母さんも多いのではないでしょうか?
小学生で「ぼくら」シリーズを卒業することなく、中高生になっても読み続けている生徒も多いといわれている程、圧倒的人気をよび、大ベストセラー・大傑作エンタテインメントとなっているシリーズ本です。
宗田理の経歴
宗田理さんは1928年〈昭和3年〉に現在の世田谷区に生まれました。
最初の執筆作品は、戦後間もなくのころ、『涅槃』という作品を執筆されたそうで、当時のペンネームは漠蕪愚(ばくぶぐ)だったそうです。
ちなみに、「涅槃」はなんと読むかわかりますか?
「ねはん」と読むそうです。
小学生にはもちろん、親御さんでもご存知の方は少ないかもしれませんね。
そう言う私もこの漢字の読み方は知りませんでしたが、仏教用語だそうです。
大学を卒業されてからは、週刊誌の編集長をされたり、PR会社を起業されたりと、書く仕事を主にされていたようでした。
「ぼくら」シリーズについて
人気作品となった「ぼくらシリーズ」ですが、元々はこども向けではなく大人向けの小説でした。
その名も『少年みなごろし団』。
内容を少し引用すると
“5人の少年たちで構成される秘密結社「少年鏖〈みなごろし〉団」――その目的は、汚いおとなたちをやっつけることだ。しかし、ツッパリや暴力はもう古い。メンバーたちは、それぞれの特技を生かし、奇抜なアイディアでおとなたちをやりこめる・・・”
引用元:ブックライブ
とあります。
そしてまたここでも難しい漢字が出てきましたね。
「鏖」は「みなごろし」と読むそうです。
「涅槃」も「鏖」も難しくて習字には使えませんね・・・
『少年みなごろし団』が刊行された後、1985年に『ぼくらの七日間戦争』が発刊されました。そして初版から3年後に宮沢りえさん主演で映画が公開され、2019年には劇場アニメとして再びスクリーンに帰ってきました。
⚫︎我が家が「ぼくら」シリーズを読み始めるまで
我が家の息子も小1の頃までは、絵本、もしくは動物や小学校低学年が主人公になっているような大きめな文字の本中心の読書をしていました。自治体の図書館のいつもとは違うコーナーをまわりながら本を探していた際、私が「ぼくら」シリーズを発見しました。
残念ながら私自身は子どもの頃「ぼくら」シリーズに出会えていなかった人間ですが、聞いたことのある題名、そしてアニメ風な表紙にひかれ、何気なく借りてきたのが最初でした。表紙をあえて見えるように置いておいたところ、小2の息子が「なんだか、おもしろそうな絵の本だね」と手に取り、読み始めたのがきっかけでした。少し読んでみたら意外とおもしろいと感じたようで、あっという間に一冊読み上げていました。
あらためて図書館に行き、何冊かシリーズ本を借りてきて息子に手渡したところ、夢中になって読み始めました。それに気づいた夫が「パパも小さい時、この本のシリーズ、ほとんど読んだよ!おもしろいんだよね、このシリーズ。」というはなしになり、私も含め家族で読むようになりました。
⚫︎お小遣いで「ぼくらシリーズ」購入
気づけば息子はお小遣いをもらう度に、本屋に行き「ぼくら」シリーズを購入するようになりました。おじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行った際も「おもちゃとか、ほしいものはある?これから買いに行こうか?」と言われると、本屋に行き「ぼくら」シリーズを買ってもらっているほどでした。「全部そろえたい!」ということで、古本屋で探して買うようにもなり、息子の部屋の本棚に「ぼくら」シリーズが次から次へと置かれていくようにもなりました。また、2023年10月に発売された『ぼくらの東京革命』や、2024年3月に発売された『ぼくらのイタリア(怪)戦争』は自分自身で本屋に予約をしに行き、発売日を心待ちにし、購入後は何度も読み返していました。
⚫︎宗田理さん死去のニュース
そんな息子にとって、4月の宗田理さん死去のニュースは衝撃的すぎたようで、伝えた瞬間から放心状態になっていました。そして「続編の『ぼくらの「魔」大戦』は2024年8月に刊行される予定だ。期待していてほしい。」と書かれている最新刊の『ぼくらのイタリア(怪)戦争』の最終ページを私に見せてくれました。「『ぼくらの「魔」大戦』が最後になっちゃうのかな・・・今まで知っている有名人が何人か亡くなったけれど、一番亡くなってショックだったのは宗田理さんだった」とのことでした。宗田理さん死去のニュースはテレビでも大きく取り上げられた為、次の日、小学校のクラスでも話題になったとのことでした。クラス内でも「ぼくら」シリーズ愛読者は半数近くいたようです。次の週の小学校での保護者ボランティアによる「本の読み聞かせ会」の際にも、「ぼくら」シリーズを取り上げていたボランティアさんは何人もいたようです。それだけ子どもたちにとっても、お父さん・お母さんにとっても宗田理さんが亡くなられたことは衝撃的なニュースでもあり、宗田理さんは大きな存在だったといえます。
⚫︎お父さん・お母さんも「ぼくら」シリーズをあらためて読まれてはいかがでしょうか?
お子さんが小1というご家庭でも「ぼくら」シリーズを読めようになる時期はあっという間にくることでしょう。私のように過去に読んだことがないお父さん・お母さんがいらっしゃいましたら、その時期が来る前に、こっそり先取りして、読んでおくことを強く・強くおすすめします。逆に、小さい頃にハマった!というお父さん・お母さんは、あらためて読み直してみてはいかがでしょうか?大人目線で読み直してみると、あらたな発見もあることでしょう。お子さんにすすめる順番や、お父さん・お母さんなりの「ベスト10」などを考えてみるのも、おもしろいかもしれませんね。
また、宗田理さんは、90代になっても精力的に執筆活動を続けていらっしゃった為、お父さん・お母さんが読んだことがない本もたくさんあるかと思います。亡くなられる2年ほど前に書かれたと思われる2023年3月発売の『ぼくらのオンライン戦争』は、90代になってもIT分野に目を向け執筆活動をしていたことになる為、驚きを感じることでしょう。
ちなみに、一例ではありますが「ぼくら」シリーズは下記のように分類されますので、参考にしてみてくださいね。
・友情編:『ぼくらの学校戦争』『ぼくらのミステリー列車』『ぼくらの(超)記念日』
・冒険編:『ぼくらの大冒険』『ぼくらの宝探し』『ぼくらの地下迷路』
・いたずら編:『ぼくらのいたずらバトル』『ぼくらの天使ゲーム』『ぼくらの「第九」殺人事件』
・勝利・正義編:『ぼくらのいじめ救出作戦』『ぼくらのハイジャック戦争』
・学校編:『ぼくらの修学旅行』『ぼくらの体育祭』『ぼくらの一日校長』
・恋愛編:『ぼくらの卒業いたずら大作戦 上・下』 『ぼくらのメリー・クリスマス』
関東大震災の5年後に生まれ、太平洋戦争も経験された宗田理さん。震災などの自然災害、そして戦争がなくならない世界を心配し、平和への願いを込めて書かれた本もあります。いじめや新興宗教・環境問題など、時代を反映したテーマも扱っています。子どもの声に耳を傾け、子どもの立場に立って「悪い大人をやっつける」物語を書き続けていました。子どもそして老人などの視点から「社会の矛盾」を鋭く指摘するといった作品も多数あります。公式サイト上からは、読者が感想だけにとどまらず「『ぼくら』アイディアを送る」こともできたそうです。多くのファンの要望を汲んで、プロットを考えた作品もあるとのことで、読者の声・時代の声にこたえていくことは宗田理さんにとって、大きなミッションだったのかもしれませんね。
親子で読書時間を楽しむためにも参考にしていただければ幸いです。なお、期間限定にはなりますが、哀悼ページが設けられていて、こちらで『ぼくらの七日間戦争』を80ページまで無料で読むことができます。
【角川つばさ文庫 ヨメルバひろば】
哀悼・宗田理
『ぼくらの七日間戦争が80ページまで読める』
「ぼくら」シリーズ累計2000万部
読書は心を豊かにするもの。ぜひ親子で充実した読書タイムを過ごしてくださいね。