「小1プロブレムとは?小1の壁との違い」
近年問題視されている小1プロブレムという言葉を聞いたことはあるでしょうか?「小1の壁とは違うの?」と思う方もいるかもしれません。小1の壁は子どもの小学校入学を機に親が直面する問題で、小1プロブレムは小学生になった子ども自身が直面する問題です。小1プロブレムについて理解を深められるよう、詳しく解説していきたいと思います。また、家庭でできる対策もご紹介しますので、参考にしてみてください。
まずは、小1の壁との違いを比較してみましょう。
小1の壁
小学校入学を機に、仕事と育児の両立が難しくなってしまうのが小1の壁です。放課後の預け先がなかったり学童の迎えの時間を間に合わせるために、仕事を早く切り上げなければならない必要や、場合によっては時短勤務に変える必要があります。また、子どもの宿題や学校の準備のサポートやPTA活動等で忙しくなってしまうことも問題となります。
小1プロブレム
未就学児では遊びが中心だった生活が、小学校では勉強が中心になります。45分間座って授業を受けたり集団行動が増えたりする他、登校時間に合わせて朝食を食べて身支度をしなければなりません。ガラッと変わる小学校の生活になかなか馴染めず、落ち着かない様子が数ヶ月続いてしまいます。親である私たちにも小学校へ上がるタイミングが有った訳ですが、子どもながらになんとなく居心地の悪い思いを覚えていらっしゃる方もいるでしょうし、まったく何も感じなかった、あるいは何も覚えていないという方もいらっしゃるでしょう。小1プロブレムが社会で話題になりはじめたのは決して最近というわけではなく、1990年代後半くらいからだそうです。ちょうど、今幼稚園や小学校に通っている子どもたちの親、つまり私たちが子どもの頃に話題になりはじめたのですね。と言っても、“その頃から問題を抱えた子どもが増えた”という訳ではなく、“問題として認識され始めた”のかもしれません。
⚫︎子どもたちは、1、2歳ごろに自我が芽生え、3、4歳ごろにはイヤイヤ期や第一次反抗期と言われる時期を経ます。
そして他人への思いやりや共感力を確立させたところで小学校へと上がってきますが、「自分」と「他人」という関係の中でまだまだ不安定な時期でもあります。そんな不安定な時期に、新たな人間関係・規律・勉強たちが襲ってくるのですから子どもたちも大変です。考えてみると、大人でさえ学生から社会人になった時には期待と不安が入り混じった複雑な時期がありました。小学校にあがる子どもたちが不安定になるのも当然なのかもしれませんね。さて、小1プロブレムは私たちの大切な子どもたち自身が抱える問題なので、親としては何とか問題を解決し、子どもたちに楽しい学校生活を送って欲しいところですね。しかし病気や怪我などと違って“問題は学校で起こっている”のですから、親には気づきにくいものです。お子さんが「小1プロブレム」という問題を抱えているかどうかを知るためにも、日ごろからご自宅でお子さんとのコミュニケーションをとっていただくことはもちろん、学校の先生とのコミュニケーションも大変重要となります。
特に子どもは親には正直に言わず、辛い思いをしていても「学校は楽しいよ」と言ってしまう、あるいはそう思い込んでしまっている子どもも少なくありません。そういう意味でも、集団生活の中で直接子どもを目にしている先生や、私たち学童保育のスタッフとも是非コミュニケーションをとっていただければと思います。
小1プロブレムの特徴
・授業が始まっても席に座れない
・授業中に教室を歩き回る
・集団行動が取れない
・先生の話を聞かない
・ふざけることや私語が多い
自分の行動や感情をコントロールできず、自分勝手な行動を取ってしまうのが特徴です。これらの行動を取る子が多ければ、学級崩壊してしまうという事態も起こってしまいます。小学生になるとルールを守ることやクラスの友達と協力して学ぶことが大切になりますが、適応できないケースが増えているようです。文部科学省でも、小1プロブレムへの対策を課題としています。
幼児期の教育と小学校教育の接続について
小1プロブレムの原因
・今までの生活とのギャップ
・遊びから勉強が中心に変わる
・集団行動が増える
・自分でやることが増える
親としては、子どもや学校に問題があるのか心配になってしまうかもしれませんが、小1プロブレムは園生活と学校生活のギャップによって起きる問題なので、しっかりと対応してあげると軽減することができます。
家庭でできる対策法
慣れない学校生活で疲れや不安を抱えているため、安心できる環境作りや言葉がけが大切です。
● 子どもの話を聞いて気持ちを共感する
新しい生活や人間関係、勉強等で疲れやストレスは溜まっているはずです。家族との関わりが安心できる場となるため、丁寧に話を聞いて関わるようにしましょう。子どもの話に耳を傾け、子どもの気持ちに寄り添いながら勉強や学校の準備等のサポートをする事が重要です。
● コミュニケーション能力を高める
家族以外にも交流の機会を増やしてあげると、社交性が身に付き新しい人間関係にも対応しやすくなります。コミュニケーション能力を高めるためには、地域の行事や校外の友達と関わる機会を増やしてあげることが良い経験になります。
● 時間を意識させる
時間を見て行動するよう声をかけ、メリハリのある生活を心掛けましょう。まだ時間の感覚が理解しにくい年齢であるため、「もう少しで7時だよ。」「〇時になったら寝る時間だよ。」等具体的に声をかけるようにしてみてください。
● 自分で考えて行動する習慣をつける
身の回りのことや学校の準備を自分でできるように習慣づけましょう。学校では自分でやらなければならないことが多いため、家での積み重ねが自信につながります。椅子に座る時間を増やすことや、食事の配膳等も経験しておくと良いでしょう。自分で考える力を育むためには、選択肢を与えて自分で選ぶことも効果的です。
● 自己肯定感を高める
自分でやってみたいと思うことが増える反面、集団行動では我慢しなければならないこともあります。チャレンジしたことや我慢できたことをたくさん褒めてあげるようにしましょう。親が認めてくれることで、子どもは安心して意欲的に行動できるようになります。自己肯定感が高まると、挑戦する気持ちが芽生えたり友達にも優しくできたりします。
● 生活のルーティンを決める
園生活とは違って学校の支度や宿題があります。生活のルーティンを決めておくことで、朝バタバタすることなく落ち着いて登校できるでしょう。また、ルーティンを決めることで日常のスケジュールや順序を把握することができ、自己管理能力や責任感も生まれます。子どもの意見を取り入れながらルーティンを決めてみてください。
民間学童へ通うメリット
さて、小1プロブレムに関して私たち民間学童を運営している立場から考えると、民間学童でお預かりすることには少なからずメリットがあると考えられます。
① 小学校へ通う前に準備ができる
② 違う環境で過ごすことができる
③ より多くの大人の目でみてあげられる
④ 子どもの相談にのってあげられる
民間学童では小学校に比べると一人のスタッフが見る子どもの数も少なく、子どもの変化に気づきやすいと言えます。
⚫︎まとめ
小学校入学は大きな転機です。親にとっても子どもにとっても、環境の変化に戸惑いや困難が少なからずあると思います。環境の変化に対応できるようサポートしてあげるように心掛けましょう。学校は楽しいところであることが感じられるよう、家庭でできる対策を実践し学校生活に興味がもてるようにしてみてくださいね。