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子どもの自己肯定感が低くなる原因は?高めるためにできること・注意点を解説
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け止める・肯定する感覚のことを言います。人と比べることなく、「今の自分」を認め、尊重することで生まれる感覚です。内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自分を肯定的に捉えている者の割合が低い傾向にあることがわかっています。(※)
では、自己肯定感が低くなる原因は、何なのでしょうか?
今回のコラムでは、自己肯定感が低くなる理由や自己肯定感が低い子ども・高い子どもの特徴、自己肯定感を高めるためにできること・注意点について解説します。
令和元年版 子ども・若者白書(概要版)- 特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~ 「調査結果のポイント」より
子どもの自己肯定感が低くなる原因
子どもの自己肯定感が低くなる主な原因は、次のとおりです。
・子どもの話を聞かない
・保護者が子どもの行動を決める
・結果で判断する
・必要以上に厳しいしつけ
「まだ子どもだから」という理由で、子どもの意見を尊重しなかったり、行動を決めてしまったりすると「自分の意見は聞いてもらえない」「どうせ何を言っても無駄」という気持ちが生まれ、自己肯定感が下がってしまいます。また、過度なしつけをすると、子どもの頑張る理由が「怒られないようにするため」「褒められるようにするため」になってしまいます。このような状態では、自己肯定感を高めることはできません。
自己肯定感が低い子ども・高い子どもの特徴
自己肯定感が低い子供 | 自己肯定感が高い子供 |
・自分のことが嫌い ・新しいことに挑戦したがらない ・自分の意見を言おうとしない ・ネガティブな考え方が多い ・周りの人と比較して劣等感を感じる ・人を排除したり、攻撃したりする ・諦め癖がある |
・自分のことが好き ・意欲的に取り組む ・自分の気持ちや考えを素直に話す ・前向きな考え方をする ・周りの人を認めることができる ・コミュニケーションが上手くとれる ・失敗しても諦めない |
高めるためにできること
子どもの自己肯定感を高める方法を紹介します。
子どもの話を受け止める
子どもが話しかけてきたときは、口を挟まずよく聞きましょう。「〜で嬉しかったんだね」「〜だから悲しかったんだね」と気持ちを理解し、受け止めてあげることで「受け入れられている」という感覚をもつことができます。
自分で選ぶ機会を増やす
子どもが選ぶ機会を意識的に増やすことも大切です。自分で考え、選択する力を身につけることで、自信や自己肯定感を高めることにつながります。まずは、今日はどの服を着るか、文房具をどれにするかといった小さなことから始めてみましょう。
結果ではなく、過程を褒める
テストで100点をとったから褒めるのではなく、テストに向けて勉強している過程や苦手な教科にも取り組む姿勢などを褒めることが大切です。結果ばかり見てしまうと、失敗することを恐れ、チャレンジする気持ちが失われてしまうことがあります。努力や過程を褒め、チャレンジ精神や乗り越える力を育むことで、自己肯定感を高めます。
失敗しても前向きな声かけをする
子どもが何かに挑戦して失敗してしまったときは「大丈夫だよ。もう1回やってみよう」「今回は上手くいかなかったけど、よく頑張っていたね」と声をかけると良いでしょう。前向きな声かけを続けていくことで、子ども自身も「失敗しても大丈夫」「また挑戦してみよう」と捉えられるようになります。
保護者自身の自己肯定感を高める
保護者の方が自分自身に対して厳しかったり、認められなかったりすると、子どもに対しても厳しくなりがちです。子育てや仕事、家事などさまざまな場面で頑張っているご自身のことも認め、「よくやってる!」と自分を励ましましょう。日頃から、ご自身も大切にしてくださいね。
3つの注意点
子どもの自己肯定感を高める際に、気をつけておきたい3つのポイントを解説します。
1.他の子と比較しない
「○○ちゃんのほうができている」と人と比べてしまうと、子どもはどんどん自信をなくしてしまいます。もっと頑張ってほしいという保護者の想いもあるかもしれませんが、子どもが頑張っていること、良くなっていることに意識を向けて、人と比べる発言は控えるようにしましょう。
2.子どもの人格を否定しない
「どうしていつも迷惑ばかりかけるの」「うそつきね」など、子どもの言動や人格を否定する言葉は使ってはいけません。人格を否定されてしまうと「自分はダメな子なんだ」と自己否定するようになってしまいます。「お店では静かにしなさい」「約束は守らないといけないよ」など、人格を否定する言葉を使うのではなく、行動に対して注意をしましょう。
3.子どもに期待しすぎない
子どもに期待しすぎると、子どもにとってはプレッシャーになってしまうことがあります。教育に力を入れている保護者の方ほど「より良くなってほしい」という想いから、子どもに求めるものが増えていきがちです。子どもがテストで95点だった際に「次は100点だね」と声をかけてしまうと、「95点の自分はダメなんだ」と子どもは感じてしまいます。まずは、95点を取れた頑張りや、それまでの過程を褒めるようにしましょう。
子どもをありのまま受け止めて自己肯定感を高めよう
子どもが幸せに生きていくためには、自己肯定感を高めることがとても大切です。しかし、大人はついつい子どもの「できること」「できないこと」に目がいく傾向にあります。子どものありのままの姿を肯定的に受け止め、「次はできるよ」「一緒にやってみよう」など、前向きな声かけを心がけていきましょう。自己肯定感を高め、「自分のことが好きだ」と感じられる子どもが増えていくことを願っています。